粉瘤・おできの治療

かもがわクリニック天六

おでき・粉瘤の治療

経験豊富な形成外科医が担当します

内服薬の処方で治ってしまう”おでき”から、摘出の手術が必要なものまで、いろいろなできものがあります。最適な治療法を提案します。
また、おできが痛み出し、早く何とかして欲しい方もご遠慮なくお越し下さい。
当院では、出来るだけディスポ製品を使用し衛生面に配慮しています。

粉瘤とは

  • 放置すると大きくなる皮膚のできもの、シコリです
  • シコリはふくろ(袋)の中にアカ(垢)がたまったものです
  • くさいにおいがすることがあります
  • 赤く腫れて痛くなることもあります
  • 手術しないと治りません

「おへその出口がふさがって、おへそが体に埋まってしまった状態」と考えるとわかりやすいと思います。おへそにはゴマと言われる垢(アカ)がたまります。これは新陳代謝で古くなった皮膚がはがれたもので悪臭の元にもなります。普通はお風呂で洗い流して終わりです。しかし、おへそが皮膚に埋まって出口がなくなると垢がたまりにおいもしてきます、これが粉瘤です。

 

>> 1.粉瘤とは... 原因と初期の症状

>> 2.出来やすい人

>> 3.自然治癒ほぼありません

>> 4.痛くなってきた これは、炎症性粉瘤まで放置したということです

>> 5.治し方は手術しかありませんか?

>> 6.治療の費用は? 手術給付金はもらえる?

>> 7.見分け方 悪性の癌になりますか?

>> 8.おしり、鼡径部、陰部、足の付け根、股にでき困っています

>> 9.他のできもの しこりとの違いが分からない

 

粉瘤(ふんりゅう)・アテローマとは「皮膚の下に皮膚の上皮成分(表皮や外毛根鞘)が皮内や皮下に落ちて袋を形成し、その中に粥状をした垢や脂が貯まってできた固まりです。」と日本形成外科学会のホームページ(粉瘤|日本形成外科学会 (jsprs.or.jp))で説明されています。

 

 

1. 粉瘤とは、原因と初期の症状

粉瘤は、体中のどこにでもできる皮膚のシコリ(皮下腫瘍)で癌(ガン)ではありません。『しぼうのかたまり』などといわれていますが、本当の脂肪ではありません、皮膚のすぐ下の袋状の構造物に、本来皮膚からはがれ落ちるはずの垢(角質)と皮膚の脂(皮脂)が、はがれ落ちずにたまったできものです。

初期の症状は毛穴が黒ずんで目立つ程度で、よく触るとわずかなシコリを触れます。放置すると、隆起する半球状のかたまりとして大きくなってきます。しこりは皮膚に密着していてまわりより硬く触れます。

発生の原因は、不明です。打撲や外傷などの後やニキビ痕にできることもあります。医学的には、皮膚の上皮成分(表皮や外毛根鞘)が皮内や皮下に落ちて袋を形成し、その中に粥状をした垢や脂が貯まってできたかたまりです。

 

2.できやすい人

背中や項、顔の頬や耳たぶなどにできることが多く、できやすい体質の方はいらっしゃいます。しかし、どのような方ができやすいのかは分かっていません。

 

3.自然治癒はほぼありません

自然に無くなることはまれで、放っておくと徐々に大きくなり10cmを越える大きさになることもあります。気付いたらすぐに、痛くなってくる前に手術で取り除くことをおすすめします。ほとんどの場合、数日の受診で完治します。

 

4. 痛いとき......炎症性粉瘤まで放置してしまったとき

細菌感染を起こすと急に大きくなり、赤く腫れて痛くなり、『おでき』と間違われることがあります。「2-3日前からムズムズした違和感があったが、放置していると昨日から急に大きくなりひどい痛みが出てきた」と受診される方が多くおられます。さらに放置すると、皮膚が破けて膿汁と臭い粥状のかたまりを排出します。赤く腫れているときに膿を出そうとして無理に圧迫すると、袋が破れて脂肪織内に散らばり膿皮症という状態になる場合があります。無理に圧迫し内容物を押し出すことはやめて、早めに医師に相談し薬の服用と処置を受けてください。ムズムズしてから痛くはれてくるまであっという間です。この状態で受診すると、完治するまで数週間かかることもあり後悔することになります。

 

5.治し方は簡単な手術

形成外科では新卒のお医者さんはまず粉瘤の手術から習います。40年以上前から手術法は変わっておらず、以下の2つの手術方法があります。それぞれ長所短所がありどちらがすぐれているというものではありません。所要時間もほぼ同じです。方法は医師に任せるのが一番です。

・紡錘形切開法

粉瘤の直上の皮膚を紡錘形に切開し、粉瘤を取り除いて、縫合する方法です。

長所:大きなサイズのものにも対応できます。完全に取り除ける可能性が高く、再発率も低くなります。

短所:粉瘤の直径分の長さの傷跡が残ります

・くり抜き法

皮膚に丸い小さな穴を開けて、そこから粉瘤を引き抜く方法です。

長所:治療後の傷跡が小さいことです。顔面の粉瘤の場合、まず試されてもよいかと思われますが、顔面でも部位と大きさによっては紡錘形切開法の方が目立たない場合もあります。

短所:粉瘤の小さな出口を含めてくり抜く必要がありますが、出口が分かりにくい症例もあります。また、小さな穴から袋を引き抜くので、できものが一部残ってしまっても見えないため医師が気付きにくい。いずれの場合も再発してしまいます。

 

6.治療の費用は? 手術給付金はもらえる?

紡錘形切除法、くり抜き切除法で費用は変わりません。できている場所と大きさによって費用は変わってきます。手術料以外に検査費用が必要となります。保険治療の場合、全国一律料金です。

 

手術給付金について

生命保険会社や共済組合などの医療保険に加入されている方は手術給付金が受けられることがあります。本人が手続きしないと給付されませんのでご注意ください。通常は保険会社指定の用紙に医師が記入することになります。加入している生命保険会社、共済組合などがあれば保険会社へ確認して下さい。

 

7.見分け方 悪性の癌(がん)になりますか?

粉瘤の特徴には次のようなものがあります。

  • 皮膚が少し盛り上がり、数ミリ~数センチのしこり
  • しこりの中央に黒い点(開口部)がある
  • 臭いがあるものが出てくることがある
  • 痛みやかゆみはないが、炎症を起こすと赤く腫れ上がり痛みを伴う
  • 炎症を放置すると破裂して膿がでてくる

基本的に粉瘤は袋を綺麗に取り去らなければ再発します。放置し炎症を繰り返すと癌(がん)になるとも報告されていますが、めったにありません。30年以上の経験を持つ形成外科医でも粉瘤が癌になった患者さんを診察した医師はほとんどいないと思います。(https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/29681810

 

8.おしり、鼡径部、陰部、足の付け根、股にできもの・おできができて痛くて困っています

これらの部位に出来る痛みのあるできものは粉瘤ではない場合も多いので注意が必要です。おしり、足のつけ根(そけい部)、ワキの下、乳房の下部、肛門周囲などに起こりやすい化膿性汗腺炎という皮膚疾患です。抗生物質(化膿止めの飲み薬)だけでは完治せず、患部をメスで切除する手術が必要となることが多いようです。重症な場合は、生物学的製剤を服用する場合もあります。原因は不明な点が多く、遺伝・喫煙・肥満・細菌・機械的刺激・ホルモンが関係するとも言われています。粉瘤との区別は超音波エコー検査をしてもらうとはっきりします。

できものが陰部にある場合、診察を受けるのが恥ずかしいのでがまんされ、ひどくなってから受診されます。下着のゴムがあたる部分に出来ることが多いようです。初期であれば簡単に治療できるので早めにお越し下さい。

化膿性汗腺炎の病期と重症度 (kingslun.com)  日本皮膚科学会雑誌第131巻第1号 (jst.go.jp)

 

9.他のできもの しこりとの違いが分からない

石灰化上皮腫、脂肪腫、ガングリオン、脂腺嚢腫症、類皮嚢腫、神経鞘腫、耳前瘻孔などがあります。その他、まれにガン(癌)などの悪性のものもあります。医師が診れば簡単に区別が付きますが、患者さんに分かるように説明することは困難です。

詳しく知りたい方は、次のリンク先をクリックして下さい。

石灰化上皮腫 石灰化上皮腫|日本形成外科学会 (jsprs.or.jp)

脂肪腫、脂肪腫|日本形成外科学会 (jsprs.or.jp)

 

ガングリオン 5gangurion.pdf (jssh.or.jp)

脂腺嚢腫症、

類皮嚢腫 類皮嚢腫|日本形成外科学会 (jsprs.or.jp)

神経鞘腫

耳前瘻孔 耳(前)瘻孔|日本形成外科学会 (jsprs.or.jp)